放置自動車の「合法的」な撤去ガイド
――不動産管理会社・オーナー様が矢面に立たないための実務と証拠化
放置自動車問題で最も重要なのは、単なる移動ではなく「法的安全性の確保」です。たとえ自身の所有地であっても、勝手な撤去は「自力救済」として損害賠償請求の対象になる恐れがあります。
依頼した業者が適正な手順を踏まなかった場合、まず最初に矢面に立ち、法的責任を問われるのは駐車場管理者様(地主様)です。当社が徹底している、リスクを最小限に抑えるための実務を公開します。
なぜ「勝手な撤去」は100%負けるのか?(刑事・民事のリスク)
たとえ自分の土地であっても、法的手続きを経ずに車両を移動・処分することは「自力救済」として禁止されており、管理者様は以下の法的リスクを背負うことになります。
- 刑事:器物損壊罪(刑法第261条)
レッカー移動時に無理やり鍵を壊したり、車体に傷をつけたりした場合に問われる罪です。3年以下の懲役または30万円以下の罰金等が科せられる可能性があります。 - 民事:不法行為による損害賠償(民法第709条)
「勝手に処分されたことで財産を失った」として、車両の時価相当額(場合によっては数百万円)を請求されるリスクです。
【実務の知恵】「傷をつけられた!」という言いがかりへの防御策
現場では、滞納した駐車場代や撤去費用の請求を少しでも下げようと、「撤去の時に車を傷つけられた!」と言いがかりをつけてくる所有者が一定数存在します。
当社ではこうした事態を防ぐため、撤去前に高画素カメラで車両の前後左右を徹底的に撮影します。万が一、相手が「ここに傷がある!」と主張しても、撤去前の写真ですでに傷があることを示せば、相手のトーンは急激に萎んでいきます。この「確実な証拠」が、管理者様を守る最強の武器になります。
「盗まれた!」と言わせないための窃盗罪(刑法第235条)対策
放置車両の撤去において、最も避けなければならないのが「盗難(窃盗)」と誤解されることです。窃盗罪は刑法第235条で定められていますが、これが成立するには「自分のものにする意図(不法領得の意思)」が必要とされます。
当社が徹底する「盗む意図がないこと」の証明プロセス
住所不定や宛所不明で所有者と連絡がつかない場合でも、当社は以下の手順を踏むことで、管理者様に「盗む意図」がないことを客観的に証明します。
- 車両への警告書貼付: 撤去前に一定期間、期限を明記した警告書を車体に貼り出します。
- 警察への事前相談と通知: 警察署へ「何月何日に撤去する」という事実をあらかじめ伝え、受理番号等を確認します。
- 現場への「撤去完了公告」の掲示: 車両を引き揚げた後、駐車場の目立つ場所に「いつ・どの車両を引き揚げたか」「連絡先の電話番号」「担当者名」を記した張り紙を残します。
「いつでも返還する準備があり、場所も公開している」という事実を積み上げることで、後からの不当な言いがかりを法的に封じ込めます。
【2024年最新】改正民法による「所有者不明制度」の活用
2023年4月施行の改正民法により、所有者が特定できない、または連絡が取れない放置自動車への対応が明確化されました。従来の「裁判費用が高すぎて断念する」という状況を打破する、「所有者不明建物管理制度(動産への準用)」等の活用が注目されています。
法改正のポイント: 裁判所の選任した管理人が、所有者に代わって売却・廃棄の許可を得るルートが整備され、地主様が法的に守られた状態で撤去できる可能性が広がりました。
【比較】法的ルート vs ビッグエイトの実務ルート
| 比較項目 | 裁判所の管理命令制度 | ビッグエイトの実務解決 |
|---|---|---|
| 解決までの費用 | 約30万円〜70万円 (予納金・管理人報酬等) |
大幅に低コスト (車両価値による相殺も可能) |
| 解決までの期間 | 約半年〜1年 | 最短数週間〜 |
| 相手が「無視」 | 利用不可 (所在不明時のみ) |
交渉で解決可能 |
| 最大のリスク | 費用倒れになる可能性 | なし(法的手順を証拠化) |
※新制度は画期的ですが、1台の放置車両のために数十万円の予納金を支払うのは、管理会社様にとって現実的ではないケースがほとんどです。当社は「法律を熟知した上での実務交渉」により、このコストの壁を突破します。
【警告】明け渡し訴訟をすれば、放置自動車は解決するのか?
「裁判をして勝訴判決を得れば、すべて解決する」とお考えではありませんか?実は、「判決を得ること」と「車両を処分できること」は、全く別の問題です。
1. 裁判で勝っても「勝手に捨てていい」わけではない
裁判所が出すのは通常「駐車場を明け渡せ」という命令です。日本の法律には「自力救済の禁止」という掟があり、判決書があっても所有者の承諾なくスクラップにすれば、逆に損害賠償を請求されるリスクが残ります。
2. 「強制執行」という名の高い壁
物理的に車を動かすには追加で「強制執行」の手続きが必要ですが、ここには二度目の絶望が待っています。
- 予納金の負担: 裁判所に数十万円単位の予納金を支払う必要があります。
- 保管場所の確保: 撤去後の車を保管する場所と費用は、原則として管理者の負担です。
- 「ゴミ」と認められる難しさ: 執行官が廃棄許可を出すか、競売の手続きを経るまで処分はできません。
3. なぜ弁護士に頼んでも解決しないことがあるのか?
一部の専門家は「判決を取る」までの事務手続きには詳しいですが、その後の「残置物の泥臭い実務手続き」まで見越していない場合があるからです。出口戦略(どうやってスクラップにするか)がない裁判は、費用と時間の無駄になりかねません。
- 送達のリスク: 相手が不在で「公示送達」になれば、判決までにさらに数ヶ月を要します。
- 回収不能のリスク: 相手が無資力(お金がない)であれば、裁判費用もレッカー代もすべて管理者の持ち出しになります。
- 市場価値の罠: 車に価値がある場合、安易な廃棄はリスクが高く、慎重な競売手続きが求められます。
放置車両問題の「勝利」とは、現場から車が消えることです。
当社は、裁判の先にある「出口」を見据えた実務解決をご提案します。
1. 徹底した所有者調査と「執念」の追跡
多くの業者は「登録事項証明書」の住所に手紙を送って終わりですが、当社はそこからが違います。
住民票を追い、転居先まで特定する
登録住所が古い場合、住民票を順次追い、現在の居住地まで徹底的に調査します。夜逃げなどで住民票を移していないケースでも、転送届の可能性に賭け、必ず送付。実際に転送先から本人と連絡が取れた事例も少なくありません。
「内容証明」と「レターパック」の同時送付
内容証明は受取拒否のリスクがあるため、当社は内容証明と同文面を「レターパック(配達記録)」でも同時に送付します。さらに、「2つ折り可」の特注シールを貼付し、ポストに入らないという理由での差し戻しを徹底排除します。
弁護士の助言によれば、司法の場において「届いていたが読んでいない」という言い訳は通用しません。「確実に届けた」という客観的事実こそが、管理会社様を守る最強の証拠となります。
2. 所有者の「心」に寄り添う、粘り強い交渉事例
法的な証拠を固める一方で、私たちは「所有者の事情」にも耳を傾けます。放置の裏側にある苦悩を解消することが、結果として最もスムーズな解決(撤去)に繋がるからです。
【交渉事例】倒産、そして張り詰めた糸が切れた瞬間
あるコインパーキングに放置された車両の所有者は、事業が倒産しすべてを失った女性経営者様でした。彼女は元来、非常に責任感の強い方でしたが、経済的な余裕がなく、誠実に対応できない自分を認められずに気丈に振る舞おうとされていました。
私は決して彼女を責めず、優しい言葉遣いで状況を整理し、駐車場オーナー様とも交渉。「無事に撤去できるなら、滞納代金は請求しない」という合意を取り付けました。解決の道筋が見えたその時、彼女は電話口で声を上げて泣いておられました。後日、生活が大変なはずの彼女から届いた一箱の菓子折りは、私たちの「誠実な交渉」への何よりの証です。
3. 現場で直面する「刑事事件」への対応
放置車両は重大な犯罪の証拠となっている場合があります。当社はこれまで、車内から不審な粉末や注射器を発見し、麻薬捜査の現場検証に立ち会った経験もございます。警察との密な連携は、依頼者様(管理会社様)を不測のトラブルから守るために欠かせません。
4. 再放置を許さない「信頼の解体ネットワーク」
撤去した車が再放置されれば、再び管理会社様が対応を迫られます。当社は東京都・大阪府をはじめ全国の優良国内業者と提携。部品の横流しを許さず、その車両を「法的に正しく消し去る」まで責任を持ちます。
【高度な実務】ローン会社所有の高級車・放置車両への対応
放置車両の車検証を確認した際、所有者が本人ではなく「ローン会社(信販会社)」になっているケースは少なくありません。この場合、安易に処分すると所有権を持つ会社から損害賠償を請求されるリスクがありますが、当社には「留置権(りゅうちけん)」を活用した解決ノウハウがあります。
【実例】ラングラーアンリミテッド(ローン中)の放置
使用者がコインパーキングに車両を放置し、駐車代金が滞納された事例。車検証の所有者はローン会社でしたが、当社が車両を一時移動し適切に保管。裁判所は、駐車場管理者の「留置権」を認めました。
「留置権」を行使する3つのメリット
- 引き渡しの拒絶: 駐車代金が全額支払われるまで、たとえ所有者(ローン会社)であっても車両の返還を拒むことができます。
- 間接占有での対抗: 当社のような専門業者が車両を預かっている状態(間接占有)でも、管理会社様は留置権を主張し続けることが可能です。
- 競売による回収: 留置権が認定されれば、車両を競売にかけ、その売却代金から滞納している駐車代金を優先的に回収できる道が開けます。
「外車や高級車だから手が出せない」と諦める必要はありません。
当社は、こうした複雑な権利関係が絡む車両についても、提携弁護士の助言に基づき、管理者様の利益を最大化する解決策を導き出します。
放置自動車の法律に関するよくある質問(FAQ)
Q. 放置自動車を勝手に撤去すると法律違反になりますか?
A. はい、たとえ自身の所有地であっても勝手に処分することは「自力救済の禁止」という原則に抵触します。民法第709条(不法行為)に基づき、後に所有者から損害賠償を請求されるリスクがあるため、法的手順(所有者調査、催告、証拠化)を踏むことが不可欠です。
Q. 2023年4月の民法改正で放置車両の扱いは変わりましたか?
A. はい。改正民法により「所有者不明土地・建物管理制度」が新設されました。これにより、所有者が特定できない放置車両に対しても、裁判所を通じて適法に処分を行う手続きのハードルが以前より改善されています。
Q. 警察は私有地の放置自動車を撤去してくれますか?
A. 原則として警察は「民事不介入」のため、私有地内の車両を強制的に撤去することはありません。ただし、その車両が事件に関与しているか、あるいは盗難車であるかの照会は可能です。法的な解決の第一歩として、警察への相談記録を残すことは非常に重要です。