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放置車両の処分後に損害賠償を請求された事例

放置車両の撤去・処分を行った後、車両関係者から「勝手に処分された」「車の価値を弁償してほしい」といった主張を受けることがあります。

当社では、放置車両の撤去にあたり、単に車を移動・処分するだけではなく、事前の状況確認、警告書の貼付、書面による通知、車両状態の記録、一定期間の保管、処分に至った経緯の記録などを行い、後日、車両の処分に至った経緯の正当性を説明できる形で対応することを重視しています。

ここでは、実際に当社が対応した「放置車両の処分後に損害賠償を請求された事例」を、匿名化したうえでご紹介します。

※本ページで紹介する事例は、個人名・車両番号・地域・一部の具体的事情を伏せたうえで掲載しています。

事例の概要

本件は、月極駐車場に長期間置かれていた車両について、駐車場管理者様からご相談を受けた事例です。

契約書上に登録されていた車両と、実際に駐車されていた車両が異なっており、管理者側で確認した限り、事前の車両変更届や承諾取得が確認できない状況でした。

また、車両は長期間にわたり駐車場内に置かれたままで、駐車場利用料の未払いも発生していました。

当社では、駐車場管理者様からの依頼に基づき、関係者への連絡、警告書の貼付、書面の送付などを行い、車両の移動・引取りを求めました。

しかし、期限までに具体的な対応や連絡がなく、契約者に撤去いただける見込みがないと判断せざるを得ない状況となったため、車両を撤去し、一定期間保管したうえで処分に至りました。

当社が車両を処分してから約2年が経過した後に、車両関係者の方から、中古車販売サイトの価格を根拠として、車両の処分に関する損害賠償を求める趣旨の連絡がありました。

これに対し、当社では、車両の状態、業者間取引相場、長期放置の状況、車検切れ、エンジン始動不可、車内の状態、管理者側に発生していた損害などを確認したうえで、書面で当社の認識を回答しました。

書面で回答した後、現時点まで追加の請求や具体的な反論はありません。

本件で問題となったポイント

本件では、後日、車両関係者から損害賠償を主張される可能性も想定し、撤去前の段階から以下の点を確認し、記録に残しながら対応していました。

1. 契約上の登録車両と実際の車両が異なっていたこと

本件では、月極駐車場の契約者と車検証上の所有者が同一であることは確認できていました。一方で、契約書上に登録されていた車両と、実際に長期間駐車されていた車両は異なっていました。

また、駐車場管理者に対して、車両変更の届出や承諾取得がなされていませんでした。

そのため契約者本人の車両であったとしても、駐車場契約上登録された車両ではなく、管理者の承諾を得ないまま駐車されていた車両であると判断しました。

2. 駐車場利用料の未払いが発生していたこと

本件では、駐車場利用料の未払いも発生していました。

放置車両の問題では、車両そのものの価値だけでなく、駐車場管理者側に発生している損害も重要です。

滞納駐車料、調査費用、レッカー費用、保管料などが発生している場合には、それらも含めて記録に残しておくことが重要です。

3. 警告書の貼付と書面送付を行っていたこと

本件では、車両関係者に移動・引取りを求めるため、警告書の貼付や書面送付を行いました。

  • いつ、どのような内容で通知したのか
  • 期限を設けて任意対応の機会を与えたのか
  • 期限までに連絡や移動があったのか

こうした点を記録しておくことで、後日、撤去・処分に至った経緯を説明しやすくなります。

4. 車両の状態を確認していたこと

相手方から車両の価値を主張された場合、車両状態の確認が重要になります。

本件車両は、長期間放置されており、車検が切れ、バッテリーが上がり、エンジンが始動しない状態でした。また、車内も荷物が散乱し、通常の中古車販売車両とは異なる状態でした。

このような車両について、販売店に並んでいる中古車の店頭価格をそのまま損害額として評価することはできません。

車両価値を判断する際には、年式、走行距離、グレード、修復歴、車検の有無、エンジン始動可否、内外装の状態、放置期間、業者間取引相場などを総合的に確認する必要があります。

5. 中古車販売サイトの価格をそのまま損害額とは考えなかったこと

本件では、車両関係者から、中古車販売サイトに掲載されている別車両の販売価格を根拠として、車両価値に関する主張がありました。

しかし、中古車販売サイトに掲載されている価格は、販売店が店頭で販売する際の価格であり、必ずしも放置車両そのものの価値を示すものではありません。

特に、放置期間が長い車両、車検が切れている車両、エンジンが始動しない車両、車内が散乱している車両などについては、店頭販売価格とは大きく異なる評価になります。

当社では、業者間での同種車両の取引相場や、実際の車両状態を踏まえたうえで、相手方の主張する金額をそのまま本件車両の損害額と評価することはできない、という認識を書面で説明しました。

6. 管理者側に発生していた損害を書面で示したこと

放置車両の問題では、車両関係者から「車を処分された」と主張される一方で、駐車場管理者側にも損害が発生しています。

本件でも、滞納駐車料、調査費用、レッカー費用、保管料など、管理者側に具体的な負担が発生していました。

そのため、当社では、相手方からの請求に対して、車両価値の問題だけでなく、管理者側にも滞納駐車料や撤去関連費用などの損害が発生していることを書面で明確に示しました。

当社が本件で行った対応

本件では、以下のような流れで対応しました。

  1. 駐車場管理者様からのご相談
  2. 契約車両と実際の車両の確認
  3. 駐車場利用料の未払い状況の確認
  4. 車両に警告書の貼付
  5. 車両関係者への書面による通知
  6. 任意での移動・引取り期限の設定
  7. 期限までに連絡・移動がないことの確認
  8. 車両の撤去
  9. 当社保管場所での一定期間の保管
  10. 車両状態や価値の確認
  11. 処分に至った経緯の記録
  12. 処分後の損害賠償主張に対する書面回答

当社では、電話だけでのやり取りではなく、必要に応じて書面またはメールで対応するようにしています。

口頭でのやり取りだけでは、後日「言った・言わない」の問題が生じやすくなります。そのため、認識の相違を避けるためにも、重要な場面では記録に残る形で対応することが大切です。

放置車両の撤去では、処分後のトラブルまで見据えた対応が必要です

放置車両の撤去では、目の前の車両を移動することだけに意識が向きがちです。

しかし、実際には、撤去後や処分後に車両関係者から連絡が入り、車両価値や損害賠償について主張されることがあります。

そのため、放置車両を撤去・処分する際には、次のような点を事前に確認しておくことが重要です。

  • 車両が契約上登録された車両と一致しているか
  • 駐車場管理者の依頼内容は明確か
  • 警察への確認は行っているか
  • 警告書の貼付や書面送付を行っているか
  • 任意での移動・引取りの機会を設けているか
  • 車両の外観・車内・車検状態を記録しているか
  • 車両価値の根拠を確認しているか
  • 保管期間を設けているか
  • 処分に至った理由を説明できるか
  • 管理者側に発生している損害を確認しているか

こうした確認を怠ると、後日トラブルになった際に、撤去・処分の正当性を説明しづらくなる可能性があります。

AIの回答やマニュアルだけでは判断できない現場対応もあります

近年は、AIやインターネットで調べれば、放置車両の撤去方法、通知書の文面、損害賠償請求への対応などについて、ある程度の情報を得ることができます。

しかし、放置車両の現場では、マニュアルどおりに進めれば必ず安全に解決できるとは限りません。

放置車両の対応では、書類や手続きの知識だけでなく、所有者・使用者・車両関係者とのやり取りを冷静に進める力も重要です。

実際には、感情的に強い口調で主張される方、一部の法的知識をもとに強く反論される方、高圧的にご自身の主張を押し通そうとされる方もいます。

このような場面では、単に手順を知っているだけでは対応が難しく、相手方の主張、車両の状況、契約関係、所有者・使用者の立場、現場の安全性などを確認しながら、どこまで対応すべきかを慎重に判断する必要があります。

当社ではこれまで、慎重な対応を要する相手方とも向き合ってきました。

  • 反社会的な背景が疑われる方
  • 社会や周囲に対して強い怒りや不満を抱えていると見受けられる方
  • 精神的に余裕を失っていると見受けられる方
  • ご自身の損害に強く意識が向き、駐車場管理者側の損害には目が向きにくい方

このような場面では、法律論や一般的な手続論だけで機械的に対応すると、かえって相手を刺激し、トラブルが大きくなる可能性があります。

そのため当社では、通知書を出す、期限を切る、損害を請求する、といった形式的な対応だけではなく、次のような点も重視しています。

  • 強い口調で主張された場合でも、動揺せずに事実関係を確認すること
  • 法律用語を出された場合でも、必要以上に怯まず、確認すべき点を見極めること
  • 反論すべき点と、あえて深追いしない点を判断すること
  • 相手を追い詰めすぎず、現実的な落としどころを探ること
  • 相手方の危険性や感情の高ぶりを見ながら、対応の強弱を調整すること

場合によっては、あえて強く追及しすぎないこともあります。

また、相手方の状況や現場の安全性を考慮し、一定の温情をかける、請求の仕方を調整する、解決を優先して和解的な対応を検討する、といった判断が必要になることもあります。

放置車両の撤去は、単に車を動かす作業ではありません。

所有者・使用者・管理者・近隣住民・現場担当者の安全や感情も含めて、現実的に解決へ導く必要があります。

当社では、AIや一般的なマニュアルの答えをそのまま当てはめるのではなく、これまでの現場経験をもとに、相手の人となりや状況を見ながら、できるだけ安全かつ実務的に問題を収束させることを大切にしています。

放置車両の撤去・処分でお困りの方へ

当社では、所有者確認、警告書、通知書、写真記録、車両状態の確認、一定期間の保管、処分に至った経緯の記録まで含めて、放置車両の撤去・処分に対応しています。

AIやインターネットで一般的な情報を得られる時代だからこそ、当社では、現場経験に基づく判断を重視し、相手方の状況や現場の安全にも配慮しながら、できるだけ現実的な解決につなげることを大切にしています。

放置車両の撤去・処分でお困りの方は、まずは現在の状況をお知らせください。車両の状態、契約状況、滞納の有無、所有者・使用者との連絡状況などを確認したうえで、進め方をご案内いたします。

よくある質問

Q. 中古車販売サイトの価格をそのまま損害額として請求されることはありますか?

A. あります。処分後に、車両関係者から中古車販売サイトの価格を根拠として、損害賠償を主張されることがあります。

ただし、販売店の店頭価格は、実際に販売されている別車両の価格であり、放置車両そのものの価値を示すとは限りません。

特に、長期間放置されていた車両、車検切れの車両、エンジンが始動しない車両、車内に荷物が散乱している車両などについては、店頭販売価格をそのまま損害額として評価することはできません。

当社では、実際の車両状態や業者間の取引相場を踏まえて、車両価値を確認しています。

Q. 放置車両の処分後に損害賠償を請求された場合、どのように対応すべきですか?

まずは、撤去前後にどのような対応を行い、どのような記録が残っているかを確認することが重要です。

警告書の貼付状況、通知書の送付履歴、車両写真、車内状態、車検情報、保管状況、査定根拠、処分に至った経緯などを確認します。

そのうえで、電話だけで対応するのではなく、書面またはメールで当社の認識を明確に伝えることが望ましいです。

口頭でのやり取りは、後日「言った・言わない」の問題につながる可能性があります。当社では、重要なやり取りについては、内容を正確に記録できる方法で対応しています。

Q. 駐車場管理者側にも損害が発生している場合、どのように対応すべきですか?

放置車両が長期間置かれていた場合、駐車場管理者側にも損害や費用負担が発生しています。

たとえば、滞納駐車料、調査費用、レッカー費用、保管料などです。

車両関係者から一方的に損害賠償を主張された場合でも、管理者側にどのような費用や損害が発生しているかを確認し、記録に残しておくことで、今後の対応方針を検討する材料になります。

そのため、放置車両の撤去を進める際には、車両側の事情だけでなく、管理者側に発生している費用や損害についても、具体的に確認しておくことが重要です。

Q. 放置車両を処分した後にトラブルを防ぐには、何を残しておくべきですか?

処分後のトラブルに備えるためには、次のような資料を残しておくことが重要です。

  • 車両の写真
  • 車内の状態写真
  • ナンバー・車台番号等の確認記録
  • 警告書の貼付写真
  • 通知書の控え
  • 書面送付の記録
  • 警察への確認内容
  • 車両状態の記録
  • 保管期間の記録
  • 査定や相場確認の根拠
  • 処分に至った経緯の記録

これらを記録として残しておくことで、後日、所有者・使用者・車両関係者から問い合わせがあった場合にも、経緯を説明しやすくなります。

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