故人が自動車税を払っていなかった!
相続放棄をしても納付義務はあるの?
自動車税の納付書は、毎年5月頃に送付されます。
納付義務があるのは、その年の4月1日の時点での車検証上の所有者です。
今回は、故人が自動車税を払っていない場合の対応について考えていきたいと思います。
相続放棄をしている場合自動車税の納付は不要
車検証上の所有者(以後「故人」)が亡くなり、相続人に当たる方が、相続放棄している場合、その自動車税を肩代わりして納付する必要はありません。
相続放棄を行なうとはじめから相続人ではないことになり、被相続人のプラスの財産や債務のようなマイナスの財産を承継する資格が無くなります。
自動車税の未納付分も故人の残した債務といえます。
そのため、故人には自動車税の納付義務がありますが、相続放棄をした方自身には納付義務はありません。
故人に悪質な税の滞納があり嘱託保存されているときは注意が必要
相続放棄を行った場合、故人の滞納している自動車税を支払う必要はありません。
ただし、故人に悪質な税の滞納がある場合は、税務署が車を差し押さえることがあります。
税務署が陸運局に働きかけ、故人が車検証上の所有者であった車の名義変更をできないようにしてしまうのです。
車検証の備考欄には、【嘱託保存】と記載され、いつどこの税務署が差し押さえをしたのかが分かるようになっています。
(よくテレビなどで見られるような封印シールや告知文を貼られるケースは稀です。)
そうすることで、税務署としては、車の所有者が勝手に車を売却し、現金化することを防ぎます。
過去に、市場価値が数万にも満たない廃車に近い車でも【嘱託保存】されていたケースがございました。
自動車税未納などの場合の廃車手続きをもっと詳しく確認したい方は以下の記事をご確認ください。
» 自動車税が未納・滞納の場合の廃車手続き
【嘱託保存】されているかどうかの確認方法は?
もし、お手元に故人の車検証があれば、その書類情報を元に陸運局で【登録事項等証明書】を申請すれば、嘱託保存の有無を確認できます。嘱託保存がかけられている場合は、車検証の『備考欄』に以下ように記載されて、いつ、どこの税務署が嘱託保存をおこなったかを調べることができます。

登録事項等証明書

嘱託保存の記載内容
上記の通り、車検証に記載されている自動車税事務所に連絡をして、処分の相談をしていただくことになります。
先ほどお伝えした通り、差し押さえになるのは【悪質】な税の滞納がある場合に限られます。
「今年度分の自動車税を払っていない」という程度では、差し押さえされることはありませんので、ご安心ください。自動車税だけでなく、他の税金も払っておらず、その滞納金額が大きい場合に差し押さえされるようです。
納付書そのものが来ないようにしたい場合どのようにすればいい?
相続放棄していると車の抹消手続きはできません。
というのも、車の抹消手続きは相続を認める行為になりかねないためです。
しかし、車が解体されることで自動車税は止まります。
所有者が亡くなった情報や車が解体された情報は、いずれかのタイミングで自動車税事務所でも共有されますが、相続人が相続放棄した情報は、自動車税事務所では共有されないようです。
よって、相続放棄していても、形式上の相続人に、故人の納付書が送られてくる可能性がございます。
その場合は、送付元の自動車税事務所に連絡し、以下をお伝えすることで、納付を止めることが可能です。
- 私は相続人ですが、相続放棄をしており、裁判所が発行した証明書もあります。
- 車は無価値なものなので、業者を依頼して処分しました。業者からお金はもらっていません。
- 無価値であることを証明する査定書もあります。
自動車税事務所からは、相続放棄申述受理通知書の提出を求められるかもしれません。
ただし、もし、配偶者が亡くなり、その(例えば)奥様が、相続放棄申述受理通知書を提出した場合、今度は(例えば)その子供や故人の両親・故人の兄弟に納付書が送付される可能性もございます。
よって、そのような相続人と近しい関係にあり、なおかつ相続人全員が相続放棄をしているようでしたら、全員の相続放棄申述受理通知書の提出した方が手っ取り早いかもしれません。
詳細は、以下の記事で説明しておりますので、気になる方はぜひご一読ください。
» 相続放棄と解体証明書|車が適正に解体されたことを知る方法は?
嘱託保存されている車は処分できないの?
自動車税の未納が原因で、数年車が敷地内などで保管されており、何とか処分したいとお困りの方もいらっしゃると思います。
また、相続放棄をしたのに嘱託保存を解消するために、未払いの自動車税を支払ってしまうと、「相続」を承認したことになり、相続放棄が無効になってしまうと考えていらっしゃる方もいるでしょう。
結論からいうと、嘱託保存がされている車でも相続人全員が相続放棄しているのであれば処分することができます。
自動車税事務所に連絡し、相続人全員が相続放棄したことを伝えてください。
税務署は税金の滞納金額を回収することが目的であり、価値の無い車の処分に関しては、柔軟に対応してくれるケースが多いです。
まれに当社が車を処分した後に、税務署から「実は故人には税の滞納があったのですが、車はどうしましたか?」という趣旨の問い合わせをいただくことがございます。
このような場合、当社では次のような回答をしています。
- 車は処分したこと
- 車には市場価値が無かったこと
- 車検証では嘱託保存の確認ができなかったこと
今のところすべてのケースで、その説明に納得していただき、トラブルになったことはございません。
まとめ
今回は自動車税を未払いのまま亡くなってしまった場合の自動車税の納付についてご紹介いたしました。
相続放棄を行なった場合、基本的に故人の方が滞納された自動車税を支払う必要はありません。
しかし、故人の方に、配偶者やお子さん以外に、ご両親や兄弟姉妹がいらっしゃった場合、支払い通知がその方に届いてしまう可能性があります。
そのため、相続放棄をした全員が、自動車税事務所に相続放棄申述受理通知書を提出した方がよいといえます。
ビックエイトでは、相続放棄などにより扱いに困った自動車のご相談を承っております。
全国対応しておりますので、お悩みの方はご連絡ください。