【自動車解体の流れ】廃車は引き取られた後このようにリサイクルされます
廃車になった自動車は(最終的には)法律によって解体、リサイクルすることが義務付けられています。
今回は廃車を解体する目的や、解体に関連する法律、メリットなどについて触れたいと思います。
廃車の解体とは
廃車の解体とは、全てを細かくバラバラにするという意味ではなく、「パーツごとに分けてリサイクルする」という意味になります。「部品ごとに分けた方がリサイクル資源として再利用しやすいから」です。
環境に配慮するキーワードとして、『3R』があります。これは以下の3つの言葉の頭文字を取ったものです。
- Reduce(リデュース・減らす):自動車解体時に出来るだけゴミを減らしリユース・リサイクルする。
- Reuse(リユース・再利用する):まだ使えるパーツは出来るだけ中古部品として再利用する。
- Recycle(リサイクル・再資源化する):再利用できない部品は鉄・アルミ・銅等に細かく分別し資源として活用する。
廃車された自動車は、この『3R』の考え方に基づいて、解体されていきます。
廃車の解体の定義
「自動車の解体」は自動車リサイクル法という法律に基づいて行われます。
その法律においては、車を自動車解体工場に持っていっただけでは「解体」になりませんし、解体工場で部品を取り外しただけでも「解体」とは認められません。
- 解体工場へ車を搬入する
- ネット上で引取報告を行なう
- 解体工場でフロンガスを回収する
- ネット上でフロンの回収報告を行なう
- 解体工場でエアバッグを回収・展開処理する
- ネット上でエアバッグの処理報告を行なう
- 解体工場で部品の取り外し回収が完了した車を破砕工程に搬送する
- ネット上で破砕工程に回したことを報告する
- 破砕工程を行なう業者が車を引き取る
- ネット上で破砕工程を担当する業者が、車を引き取ったことを報告する
この1~10までの作業が完了して始めて「解体」と認められ、永久抹消登録や解体届出の手続きを行なうことができ、車検が1か月以上残っていれば自動車重量税の還付金の受け取りが可能となります。
7・8・9・10に出てくる「破砕工程」では、以下の作業が行われます。
シュレッダー
部品取りされた車を大型の機械(シュレッダー)に入れて粉々にし、その工程で鉄・アルミ・銅・その他のゴミに分別します。
電炉
部品取りされた車を高熱の炉に入れて溶かし、鉄資源として再利用します。炉に入れる前には、車についている鉄以外の素材はすべて取り外されます。
輸出
車をサイコロ状に圧縮して海外に輸出します。
上記のどの場合でも、大型の機械が必要なため、解体工場とは別の専門工場が「破砕工程」の役割を担うのが一般的です。
1つの解体作業が終了するごとに、上記の2・4・6・8・10のように、その旨をネット上に登録することが義務付けられています。この作業を解体車1台1台に対して行ないます。この作業を怠ると、行政の監査が入った時に指摘され、悪質で改善が見込めない業者の場合、最悪、解体業の許可が取り消されます。
ここで自動車リサイクル法について簡単にご説明します。<自動車リサイクル法制定の背景>
自動車リサイクル法とは、車のリサイクルに関して所有者や事業者の役割を定めている法律です。
経済産業省の発表によると、年間でおよそ350万台の車が廃車となっています。この廃車される車の総重量の約2割は『シュレッダーダスト』となり、リサイクルができず埋め立て処分になります。しかし近年埋め立て地が不足してきており、シュレッダーダストの処分費用も高騰しています。そのため廃車が適正に処理されず不法投棄される問題が発生しました。また、車のエアコンにはオゾン層破壊・地球温暖化などの環境問題を起こす原因となるフロンガスが使用されています。よって正しい廃車処理やリサイクルに関する法律が必要になりました。
平成17年以降、車を解体するには都道府県知事の許可を得なければならず、解体時に発生する廃油・廃液・バッテリー・フロンガス等を適正に処理し、処理した1台1台の車の状況を公益財団法人自動車リサイクル促進センターに報告することが義務化されています。
また、自動車解体の処理状況はネットで確認できます。
車を勝手に解体することは、法律に反する可能性があるだけでなく安全面でも危険が伴います。廃車の解体を適切に行うなら、必ず専門知識を持った業者に依頼するようにしてください。
なお、オーディオやカーナビなどの付属品は、解体業の許可がなくても脱着できます。
自動車リサイクル法の対象となる車は、以下の車‘以外’全てです。
<対象外となる車>
- 非牽引車
- 二輪車(原動機付自転車、側車付きのものを含む)
- 大型・小型特殊自動車
- 農業機械、林業機械、スノーモービル等
廃車は解体後にどうなる?
ここでは廃車が解体される流れや、部品がどうなるのかについてご紹介します。
解体後、再利用可能な部品は全て回収されます。
再利用される部品と鉄などの資源として使用されるパーツに分けられ、パーツごとにリサイクルの手順を踏むことになります。車にはレアメタルが使用されており素材自体の価値が高いものも多くあります。日本車はパーツも素材も質が良いと評価が高いため、国内だけでなく海外で取引されるものもあります。
廃車解体の流れ
- 解体業者に運び込まれた自動車は最初にエンジンオイル・燃料(ガソリン・軽油)・ラジエター冷却水等の廃油・廃液が回収されます。解体作業時に作業場を汚さないようにするためです。
- 環境問題の要因になるフロン類をボンベに回収し、専門の処理工場に引き渡され適切な処理を行います。
- エアバッグを展開させます。または展開せずに回収し、専門の処理工場に引き渡され適切な処理を行います。
- 再利用・リサイクルできる車のパーツを取り外していきます
- リサイクル・リユース出来る部品をすべて外された車(ガラ)は専門の処理工場に引き渡され適切な処理を行います。
- 解体届出・永久抹消は5の作業が終わり、自動車リサイクル促進センターにその情報が登録された後でないと行なうことができません。
解体後の部品
ガソリン・軽油
解体工場内で使用するフォークリフト等の重機の燃料として使用されるケースが多いです。一部の解体業者では専用のガソリンスタンドを設置しているところもあります。
タイヤ
中古部品として再利用されたり、細かく破砕され熱源として利用されることもあります。
バッテリー
無色透明の硫酸が入っているため、専門の業者に引き渡された後に、内部の鉛がリサイクルされます。
エアバッグ
転売が禁止されているため、基本的に展開させるか、回収され専門の処理業者に引き渡されます。ネットで販売されているエアバッグは違法に出品されている可能性が高いためご注意ください。
エンジン・ミッション
車上テストやテスター機器を使って点検を行います。十分な検査をした後、安全性と品質に問題がないと判断された部品は商品として保管されます。商品としての需要がない部品やオーバーヒート等できちんと作動しない部品は鉄・アルミとしてリサイクルされます。
ドア・バンパー・ライト等の外装部品
必要に応じて取り外されます。年式が古く中古部品としての需要がない部品は取り外されることなくスクラップになります。
触媒
マフラーについていて、排気ガスに含まれる有害な成分を無害する役割を果たしています。
プラチナ・ロジウム・白金・パラジウムなどの貴金属が使われているため、相場の変動によって価値が大きく上下します。
「リユース部品」と「リビルト部品」の違い
リユース品
解体車から回収され、そのまま再利用される部品のことです。
安全性と品質が問題ないと判断されたリユース部品は基本的に洗浄と研磨以外の作業は行われません。そのため、パーツによっては小さなキズなどがついていることもあります。
リビルト部品
リビルト部品とは、一度細かく分解して、目視では確認できなかった不具合のある個所は修理・交換し、一定の基準にて再び使える状態に組み立てた部品です。エンジン・ミッション・コンプレッサー(エアコン関連)やオルタネーター(充電器)等がリビルト部品の対象となります。
リンク品(参考)
リンク品には2つの意味があります。
1つはリビルト部品と同様に部品を分解して問題があるパーツを交換した部品です。
しかしリビルト品のように全ての部品をチェックするわけではありません。そのため、リビルト部品に比べて安価ですが寿命が短いという傾向があります。
もう1つは、交換用の新品や新品に近い中古品です。
メーカーに修理や交換を依頼した際に安全に車を運転できるように使われます。
どちらの意味を指すかは店舗や業者によって異なります。
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